2年ほど前に一冊読んで以来の、新保さんです。前に読んだ作品は・・あまり覚えていない。
「ボーダーライン」 ってのでした。ちょっとだけ思い出した。
選挙モノ小説というのは、初めて読みます。
ちょっと前に「サンクチュアリ」というマンガを読んでいたせいか、立候補する天知という人物が”浅見”に思えてしょうがなかったです。ずいぶん設定もキャラクターは違うんですが。
選挙と政治に関する法律というのは、ちょっと調べただけでも確かに政党に有利です。金の面でも、活動の面でも。残念なことに、この国の政治家は所詮はこの小説で書かれているような、そんなもんです。TVに出てくるような人も、たんに国民の機嫌取り役なだけにしか見えません。
のらりくらりと議論を交わし、話題を変え、結論は語らず、方針はアバウト。自己保身はキッチリ。
といっても、普段の自分たちもそんなもんです。政治に絶望しようとどうであろうと、自分がそんなもんなんだから仕方ない。「仕方ない」は自分に対して言う言葉でしかない。
主人公は、立候補する級友(旧友)の選挙を支えることで、いろいろなことに気づいていきます。人は、小さな成功をもってそれを己の自信として形成していきます。そして、そのうちにそれに沿った行動しか取れなくなってしまうもんです。勉強に対する欲求が強い人ほど、そんなもんです。
欲求が弱かった人が何かを学びだすと、途端にそんな傾向が見えてきます。
「自分以外の他人が全てバカに見える」
そんな状態。
私もそんな時期があったので、主人公にはかなり感情移入して読みました。
小学生のとき、中学生のとき、冷めまくっていた高校生時代、怠けた社会人新人時代、猛勉強して力をつけた(つもりの)社会人3年目以降。今考えると底が浅いとしか言いようがないんですが、その当時の考えは間違いではないのも確か。難しいもんです。
と、たまたま自分に照らし合わせて読んだので、余計なことに感化されてしまいました。
小説としても面白いので、けっこうオススメです。
できれば20代後半から30代の人に。
コメント